このコースの楽しみ方
司馬遼太郎『坂の上の雲』(1968-1972 連載、2009-2011 NHK スペシャルドラマ化)に登場する明治の人物たちが、青山霊園に揃って眠っている。本作は秋山好古・秋山真之兄弟と正岡子規を軸に、日清・日露戦争を経て近代国家として駆け上がる明治日本を描いた群像劇。
このコースでは、原作で重要な役を担う 16 名を、彼らが歴史の舞台で主役を演じた時系列順に並べた。歩きながら、日清戦争(1894-95)から日露戦争終結(1905)までの 11 年が、一人ずつ墓を訪ねるごとに進んでいく構成になっている。
- 1894-95 / 日清戦争 — 川上操六(参謀本部の頭脳)
- 1892-1904 / 情報統括 — 福島安正(シベリア単騎横断、対露情報戦)
- 1900-04 / 海軍体制整備 — 山本権兵衛(六六艦隊・三笠を整え東郷を抜擢した海相)
- 1902 / 日英同盟締結 — 林董(駐英公使、国際的バックアップ)
- 1904.2-3 / 旅順港閉塞立案 — 有馬良橘(連合艦隊参謀、第一次閉塞指揮官)
- 1904.3 / 第二次旅順港閉塞 — 広瀬武夫(軍神、最初の戦死英雄)
- 1904.5 / 南山の戦い — 奥保鞏(第二軍司令官、「南山の奥」)
- 1904.8-1905.1 / 旅順攻略 — 乃木希典(息子二人を失った第3軍司令官)
- 1905.1-3 / 黒溝台・奉天 — 秋山好古(日本騎兵の創設者)
- 1905.3 / 奉天会戦 — 野津道貫(第4軍司令官)
- 1905 / 近衛師団長 — 長谷川好道(鴨緑江・遼陽・奉天会戦、元帥陸軍大将)
- 1904-05 / 連合艦隊参謀長 — 島村速雄(東郷の幕僚トップ)
- 1905.5 / 日本海海戦 — 伊集院五郎(伊集院信管の開発者)
- 1905.5 / 日本海海戦 — 加藤友三郎(東郷を補佐した参謀長)
- 1905.5 / 日本海海戦 — 山下源太郎(第一艦隊参謀、後の連合艦隊司令長官)
- 1905.9 / ポーツマス条約 — 小村寿太郎(講和を成立させた外相)
約 145 分の散策で、日清・日露の戦争を時系列で「肌で感じ取る」ことができる。墓を訪ねる順番がそのまま歴史の流れになっているため、原作・NHK ドラマを観たあとに歩くと、物語の感触が立体的に蘇る。
戦闘の現場指揮(乃木・奥・秋山・野津・長谷川)、海軍の前線(広瀬・島村・加藤・山下)、後方の制度設計(川上・福島・山本)、外交による下地作りと幕引き(林・小村)、技術と兵器開発(伊集院) — 戦争を勝つには現場の勇戦だけでなく、開戦前の艦隊整備と情報統括・国際同盟、戦後の講和外交までが一体で必要だった、という構図がコース全体から立ち上がってくる。
秋山真之と正岡子規は青山霊園に眠っていない。原作の主要キャラクターから「青山霊園にいる人物だけ」を抽出した構成だが、時系列で並べたことで、本作が描いた「坂の上の雲を駆け上がる明治日本」の臨場感は十分伝わるはず。
Google Maps で散歩経路を開く
16 名の墓所を時系列順に巡る徒歩経路を Google Maps の徒歩モードで開けます。
総距離 約 2.1 km、墓所間 25-35 分(参拝込み 140-150 分)。本サイト最長級のコース、立山墓地(山下源太郎)まで足を伸ばす点に注意。